最近声がしっかり出るようになって親戚の方やお世話になった人達にお電話が出来るようになったSさん。
自分の思っていること、感じていること、不安や悩みなども話してくれるようになり、職員一同喜んでいる。
そしてその中には要望(苦情)もあった。
「おしっこおしっこってあんまり言わないで。わたし恥ずかしいでしょ。
ご飯の時もそうだよ、あんなに大きい声で言わなくたって聞こえるんだから」
「こっちに来たらみんなに見られてどうするの。注目浴びちゃうでしょ…
あっちにもトイレあるのにこっちじゃなきゃダメなの?みんなに見えるでしょ?」と
ごもっとも。
とっても大切な事だが知らず知らずに私たちに抜け落ちてしまった感覚。
羞恥心への配慮に欠けていたこと謝罪すると「そうだよ」と大きく頷いている。
Sさんはしっかり声を出せるようになったからその思いを伝えて下さった。
1度声を、言葉を失った方が再び取り戻せる事は決して簡単な事ではない。
だからこそその声を聞ける事は私達にとって大きな学びだ。
しかし声を出せない方は、、、
声なき声にしっかりと耳を傾けていかなくては「その人らしさ」を守ることは出来ないということを改めて教えて頂いたような気がする。