昨年春、全国の先進事業所を見学させて頂いたが、毎日利用者と一緒に調理を行っている小規模多機能は決して多くなかった。
確かに「調理」にかかる人的負担は大きいが、らしさでは「調理」を「食の提供」としてだけでなく、「認知症ケア」や「生活機能向上訓練」としても位置付けている。
らしさの利用者も自宅では調理を行っていない方がほとんど。
なぜなら実行機能障害があるため、最初から最後まで工程通りに作業することが難しくなっているためだ。
例えば餃子の包み方であれば
の工程があるが、②が抜けたり、③が抜けたりする。
だから職員はその抜けた部分をさりげなく補っていく。
具の量が多すぎれば減らしてあげたり、水をつけてあげたり。
そうすれば美味しい餃子を作ることが出来るのだ。
認知症になっても包丁で食材を切ったり、材料を混ぜたり、包んだりと動作を体で覚えていることが多い。
その「出来る」部分を引き出せる「調理」は「その人らしさを支える」ためにもとても有効と考えている。
調理を通して、利用者一人ひとりの能力を見極めて、出来ない事だけさりげなく支援することで「その人らしい暮らし」を支えていきたい。