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らしさケア「調理」

らしさケア「調理」

昨年春、全国の先進事業所を見学させて頂いたが、毎日利用者と一緒に調理を行っている小規模多機能は決して多くなかった。
確かに「調理」にかかる人的負担は大きいが、らしさでは「調理」を「食の提供」としてだけでなく、「認知症ケア」や「生活機能向上訓練」としても位置付けている。

らしさの利用者も自宅では調理を行っていない方がほとんど。
なぜなら実行機能障害があるため、最初から最後まで工程通りに作業することが難しくなっているためだ。

例えば餃子の包み方であれば

  1. 皮に具を乗せる。
  2. 皮のフチに水をつける。
  3. 皮をとじる。
  4. ひだをつくる。

の工程があるが、②が抜けたり、③が抜けたりする。
だから職員はその抜けた部分をさりげなく補っていく。
具の量が多すぎれば減らしてあげたり、水をつけてあげたり。
そうすれば美味しい餃子を作ることが出来るのだ。

認知症になっても包丁で食材を切ったり、材料を混ぜたり、包んだりと動作を体で覚えていることが多い。
その「出来る」部分を引き出せる「調理」は「その人らしさを支える」ためにもとても有効と考えている。

調理を通して、利用者一人ひとりの能力を見極めて、出来ない事だけさりげなく支援することで「その人らしい暮らし」を支えていきたい。

食事介助

暮らしの場がもたらす力

おおよそ1ヶ月半の入院を経て、再び在宅生活が始まる。

医療的には非常に難しい状況と言われた。

そんな中「らしさケア」は一体どこまで及ぶだろうか?当面「泊まり」を利用して心身機能の回復を目指す。

らしさに到着すると「懐かしいね」という言葉が聞かれた。少しずつ記憶を取り戻していって欲しい。

年明けから一切食事を摂っていなかったSさん。

らしさに帰ってきてさっそく食べたい言ってくれたものは「やきとり」。職員はすぐさまスーパーで購入。

仲の良い利用者を誘って、楽しく会話しながら1本を平らげた。

お酒も飲みたくなってきたとも言っていた笑「暮らしの場がもたらす力」とは?らしさケアにとってもチャレンジが始まった。

守るべき習慣

【守るべき習慣】

写真はらしさの師範がお正月にササっと書き上げた水墨画。
激似!!こういう絵が描ける人って羨ましい。

今日は改めて大切だと痛感した事をアウトプットしたいと思う。

排泄習慣とは、食事や活動性などの生活習慣と大きく関わっており、まずは習慣を確立することが大切である。
その事は身をもって分かってはいるのだが、果たして私たちは利用者一人ひとりの習慣をどこまで守る事が出来ているだろうか。
沢山の利用者がいるため、どこか「それは難しい」と思っている自分もいて、、、。

らしさにも排便ケアがうまくいかない方がいる。
ご自宅でも苦労されていて、私たちもどうしたらよいものかと頭を悩ませていた。
もともとは毎日出ていた方で自宅では朝食後に10分ほどトイレに座るのが習慣だと言う。

しかし私たちはその10分を確保しようとする意識が十分でなかった。
つまり「守るべき習慣」を守れていなかったのだ。
決して軽視をした訳ではないが、大切な事が抜け落ちた結果だと言える。

その習慣を大切にして、活動量も増やした現在はとても調子出ており、ご家族も大変喜んでおられる。

自宅⇆らしさを行き来している方の習慣を守ること。
今一度重きをおいていかなければならない。

「命を守るケア」
私たちは今一度このケアについて深めていく必要があると痛感した。

支援者の意識

【支援者の意識】

取り組みはまだまだ途中だが、少しずつ変化を感じている。

「少しでも食べて欲しい」という支援者の思いが結果的に本人の意向に背くことになってしまっていたのかもしれない。
「食べて欲しい」の呪縛を解き放ち、原点に立ち返って、「本人の食べたい時」に「食べたい物」を「食べたい分だけ」食べてもらおうという意識が本人にも伝わっているのかもしれない。

変わったのは本人ではなく、私たち支援者の意識。

生活全般において、本人の過ごし方を考え直した。
離床のタイミング、離床時の声の掛け方、余暇の過ごし方。
本人の意向を最大限尊重して、決して支援者の都合で行わないように意識した。

食べる物も「今日はこれ」ではなく、献立が好みでなければ市販の食品も使って自己選択が出来るようにした。

そしていつもは「もう少し食べて欲しい」と口をつぐんだ後にも「最後にもう一口」とスプーンを運んでいたが今は「いらない」という意思を尊重して切り上げるようにした。

取り組み後、心なしか表情も穏やかになったような気がする。
そしてまだ数日ではあるが食事量も水分も増えている。

まだまだ取り組みの途中なので一喜一憂は出来ないが、私達はこの取り組みからまた一つ大きな学びを得ることになるかもしれない。

今日は七草粥を作ってみんなで食べた。とても美味しく、優しい味だった。

食べる事を楽しんで欲しい

【食べる事を楽しんで欲しい】

食べる事が嫌にならないように。
少しでも食事を楽しんでもらいたい。

そんな思いから今日はおもいっきって発想を変えてみた。
昼食は「赤いきつね」と「りんご味の栄養サポート飲料」。

数種類から自分の目で見て選んでもらい決定した。
お湯を入れるところから一緒に行う。
いつもは食べやすい器を使用するところ、あえてそのままの容器で。
少しだけトロミをつけてみたがいつものように刻まずに提供する。

摂取量にはこだわらず、この昼食時間が嫌にならないことを大切にしたが結果としてそれなりの量を食べて下さり、いつもより意欲的にも見えた。

食べる環境を整えるために、食事姿勢や食事の内容、トロミの付け方や食事介助の方法は何度も検討してきた。
それは
「食べて欲しい」という思いが時として呪縛となってしまうこともあるのかもしれない。
私たちの考え方や家族の思いなども含めてもっと広範囲で、あらゆる角度から環境を整えていく必要があるのかもしれない。

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